農園だよりDiary

2019年4

2019.04.10
 皆さんこんにちは。

 今年の桜は見事ですね!!阿蘇でも3月下旬から咲き始めましたが、花冷えのお陰でゆっくりと開花が進み、どこの桜も見事です。車で走るとついつい桜に目が行き写真を撮ろうかなと思いますが後続車も有るし、ここの桜も良いな、あそこも良いなとしょっちゅう停車したのでは目的地に着きません。4月7日、阿蘇神社に行きました。例年なら4月初めには散ってしまうのですが、まだ桜吹雪もなく、絶好の満開でした。参道の桜並木は枝先まで咲ききり、青空に映えて自然と心もウキウキしてきます。熊本地震から3年、倒壊した楼門や神殿の復旧も始まり、気持ちも上昇気運になります。神社の復旧には樹齢の古い良質な沢山のヒノキ材が必要ですが、なかなか調達が難しいそうです。そこで私の母校、阿蘇中央高校が提供する事になりました。前身の阿蘇農業高校には40haの広大な演習林が有り、樹齢100年を超す杉林も有りますが、今回は樹齢90年のヒノキを50本提供するのだそうです。阿蘇地域の農業者は阿蘇農業高校同窓生が多く、阿蘇人の心のよりどころである阿蘇神社の造営材に役立ててもらえるのはこの上もない喜びです。元通りの姿になった阿蘇神社でまた花見をするのが待ち遠しいですね。

 3月24日、前回の有機農園だよりで触れましたが、北外輪山一帯の野焼きが行われました。当初は3月3日の予定でしたが週末になると天候が悪くなり4回延期され、やっと実施されました。3月も末になると日差しが強くなり気温も上がってきます。週末は天気が良かったので今年の野焼きは10年に1度の燃え様でした。火が着けられると炎が風を呼び、その風によって炎が大きくなり熱波が風下のカラカラの枯草をさらにカラカラにするとその後を電柱ほどの高さの龍の様な炎がのた打ち回って焼き尽くしていきます。離れて見ていてもバチバチと爆ぜる音、舞い上がる煙と焼け粕、輻射熱ですごい迫力です。この日、9時から始まり午後3時まで、6千haの原野が黒色の大地に変わりました。

 あれから2週間。昨日(4月9日)作業の為外輪山に登りました。遠目には真っ黒の大地に、よく見ると斜面一面にキスミレが1cm位の可憐な花を咲かせていました。あの野焼きの高温の中で種の形で生き延び、僅かの日にちで発芽し、根を張らせ葉を伸ばし蕾を作って花を咲かせるこの小さな植物の力に驚かされます。これから真っ黒の大地にはカヤやネザサが芽を出し日に日に若草色の草原に変貌していきます。この小さなキスミレが太陽の光を十分に浴びられる期間はこの時期のわずかな日々しかないのですね。花が咲くとすぐに種を実らせ土に帰ってまた来春まで深い眠りに就くのでしょう。長い年月をひっそりと、しかし着実に代々DNAを伝え続けるキスミレに脱帽と共に自然の営みの奥深さを感じました。

 あの見事だった桜も昨夜来のまとまった雨で大分散ってしまいました。桜の季節は終わり、天候を見計らっての田んぼの準備や苗つくりと忙しい季節がやって来ました。私も自然界の一員として自然のサイクルに身を任せて生きていきましょう。
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