農園だよりDiary

2020年1

2020.01.07
 明けましておめでとうございます

 皆様には健やかな新年をお迎えの事とお慶び申し上げます。
あそ有機農園生産者一同、本年も皆様に信頼されるお米を生産いたします。本年も宜しくお願い申し上げます。

 今年のお正月、阿蘇では天候に恵まれ、暖かく穏やかな日が続きましたが皆様の所はいかがでしたか。私の子供の頃のお正月はもっと寒く、隙間風で部屋は寒いのですが炬燵の中はポカポカでした。暖房は炬燵しかないので家族みんな一つの炬燵に肩を寄せ合っての年越しでした。食べ物も今のように流通が発達していない時代、正月といえ質素な物でした。団らんが最高の御馳走だったような気がします。令和の時代になり温暖化なのに建物が良くなり隙間風は入りません。サッシは2重ガラス、エアコン、温風ヒーター、個室、テレビは一人一台、海の幸山の幸のお節料理。しかし昔の様な肩を寄せ合った団らんはなくなりました。

 そんな中で1月5日、山田校区の「どんどや」は例年どおり行われました。小学校はなくなりましたが小学生はいます。校区を挙げて子供を中心に置いて盛大に開催され、冬とは思えない真っ青の空に白い煙が登って行きました。以前にこのお便りでも紹介しましたが山田校区はコンビニも信号機もない純農村で専業農家が多い地域でした。しかし経済効率の時代、農業を目差す若者は少なくなり小学校は昨年、閉校になりました。今まで現役最前線で働いていた年代も70代になりリタイヤする人が多くなりました。校区の農業はどうなるのか。幸い数名の若手農家が規模拡大しながら農地を受け入れて米つくりをしていますので当面は大丈夫の様子です。

 農業は食料生産を担う産業ですが、田んぼは雨水を一時的に蓄えるダムの役割をします。蓄えられた水の一部は地下水となり飲料水になります。また景観、CO2の吸収等沢山の機能を果たしています。なのに今の経済効率の世の中ではそれらは評価されないのです。国土や環境を守り多くの機能を果たしている国内農産物は海外との価格競争にさらされ、TPP、EPA(日欧経済連携協定)、日米貿易協定で日本の農産物市場は開放され海外メジャーが利益をむさぼる外国産が流入し国内産は駆逐されてしまいそうです。今、日本の食料自給率は40%に達していません。今でも多くを外国に頼っているのにまだ不十分なのでしょうか。加えて農業の根幹である「種子法」を廃止して海外の巨大種子メーカーの参入の道筋をつけてしまったのです。「種子を握るものは世界を制す」アメリカの戦略です。

 最近「ゲノム編集」という言葉を耳にします。以前は「遺伝子組み換え農産物」(特定の除草剤をかけても枯れないように遺伝子操作された農産物)について安全性はどうだろうかと議論が出来ました。ところが国によるとゲノム編集農産物は遺伝子のある部分を切り取ってつなぎ合わせる技術だから安全性に問題が無いのだそうです。本当でしょうか。誰がそれを食べ続けて問題がない事を立証したのでしょうか。きっと私達国民がモルモットにされるのでしょう。私たちの命を繫ぐ食料が私たちの見えない所で生産される時代が近づいてきています。あそ有機農園は日頃から生産現場の様子をお伝えし多くの皆様の応援を頂いています。今後は皆様には、気づかないけれど日々の生活を支えている、また巨大地震や災害時、直ぐに対応できる日本農業にも関心を持っていただく事が最大の応援になり、日本農業の再生につながることに成ります。豊かな食文化を次の世代に繫ぐ為にも。

 正月号なので日頃思っていることを書きましたが少し堅かったですね。
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