農園だよりDiary

2020年10

2020.10.04
 皆さん、こんにちは。

 暑かった夏も過ぎ、朝夕には、ひんやりとした空気に包まれ、阿蘇ではすっかり秋の装いになりました。先日の「中秋の名月」も、冴えわたった空気の中で煌々と輝く月がくっきりと浮かび上がり正にこの月の月でした。

 最近は天候も安定し、毎日晴れの日が続いていますが、例年の事ながら稲刈の時期にはちょうど秋雨の前線活動が活発な時期と重なり空模様を見ながらの作業になります。いつぞやテレビドラマの中で台風接近の大雨の中、コンバインで稲刈する様子を見ましたが実際にはそんなことはありません。コンバインの機体の中では風を利用して籾と葉やゴミを分けているので稲が乾いていることが作業の最低条件です。朝露があっても分別が出来ないので、まして雨の中では稲刈は出来ません。そういう事で今年の収穫時期は晴れの日が少なく、やきもきの日々でした。おまけに今年は「トビイロウンカ」と言う害虫の被害が大きい年でした。左の写真は被害に遭った他家の慣行栽培の田んぼです。害虫が茎から養分を吸い取り茎が枯れ、籾が成熟しません。たった数日でこのようになります。この害虫は中国南部の稲作地帯から梅雨時の南風に乗り日本にやって来ます。最近では中国でも殺虫剤が大量に撒かれ、それでも生き残った農薬耐性を持った虫たちです。今年の梅雨は西日本の各地で豪雨被害が発生しましたがその時、雨だけではなく大量の虫も一緒に飛来していたのです。農業試験場の調査によると例年より一桁多い数の飛来があったのだそうです。その虫が田んぼの中で卵を産み、それが成長して初秋の頃、大量発生し被害をもたらします。しかし隣り合った田んぼでも被害があったり、なかったり。農家は秋の豊作を願って肥料をやりますが、肥料が効き過ぎ丈が伸び、葉が重なり合い、風通しが良くないのが悪いようです。ところが合鴨の田んぼは殆ど被害がありませんでした。どうやら梅雨時に飛来した虫を鴨たちが食べてしまって次の世代が生まれなかったようです。もう一つ、合鴨の田んぼは化学肥料を使わず有機肥料で育てるので稲の出来はちょっと物足りないような気がしますが風通しが良く、害虫にとっては良い環境ではなかったようです。それでも一帯の稲刈が進んでくると残された田んぼに虫が集中してきます。春から準備、田植えして鴨を放し、何度も草を取りやっと収穫になったのに虫に食われたのではがっかり。時間との勝負です。米の収穫は刈取った籾を乾燥機で乾燥させ籾摺して袋詰という一連の作業からなります。朝露が乾くまでは籾摺ですが、それが遅れると刈取が出来ないので夜も作業します。今年は虫から脅され、天気に悩まされ、しかし何とか被害にも合わず良い米が獲れました。結果良ければすべて良ですね。

 今年、我が家の田んぼに九州大学農学部の学生さんが稲の害虫の天敵昆虫の調査に来ました。そして害虫が産んだ卵に天敵昆虫が卵を産み付けていることが確認されたようです。今後の研究が楽しみです。

色彩選別機

 「米粒」は小さい事の例えによく使われます。そんな小さな米粒の中に小石が混じっていたら、もう取り除くことは不可能でした。以前は食べる人が見つけて除いていました。しかし今、それは許されない時代です。我が家では「色彩選別機」で石や籾、変色米を取り除いて皆様にお届けしています。この機械はカメラで一粒一粒を見分け、圧縮空気ではじいて取り除く優れものです。私達も安心してお届けできます。
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