農園だよりDiary

2021年5

2021.05.03
 皆さんこんにちは。

 風薫る5月を迎えました。この間まで杉ヒノキの濃い緑色の林の中で、清楚な薄紅色に佇んでいた山桜はいつの間にか鮮やかな新緑の衣装に衣替えし、ケヤキやカシなどの広葉樹とともに山肌にモザイク模様を作っています。気候も最高、景色も清々しく一年の内で一番の時期ではないでしょうか。この最高の時期なのに昨日までの3日間、西風が強く時より冷たい小雨が降り、農作業には最悪の天候でした。雨の日も天気の内なので仕方ありませんね。今日は打って変わって最高の天気。大観峰から望む景色は御覧の通りです。麓の田んぼでは水が張られ、早い農家ではもう田植えが行われている一方、田植え時期が遅い牛の飼料用稲の為にまだ水が張られていない田んぼも有り、こちらの風景もモザイク模様です。阿蘇市では今年、農地の4割の田んぼで飼料用稲が植え付けられるようです。今日のニュースで全国の農業就業者が5年間で23%の48万人減少したと報じていましたが阿蘇でも同じです。農家の高齢化、後継者がいない中で今のコメ余り時代に対する対応が、手間が掛からず補助金が高い飼料稲栽培なのです。将来はどうなるのでしょう。国は大きな資本力のある株式会社を農業に参入させ、従来の規制を打ち破り「国際競争力」のある日本農業の再生を謳っています。農家は自分の労働時間や給料は計算せず、農産物を販売しています。しかし国が描く農場で働く人には国内給与水準に見合った賃金、社会保障を支給しなければなりません。また株式会社は株主に配当するのが責務なので国が進める時代になると農産物価格は今より高くなるでしょう。バナナは私たちの身近にある果物です。日本にはヒィリピンから多く輸入されています。しかし農場は大企業所有で現地の安い労働力を使い、その労働者の住む村ごと空から飛行機で農薬を散布しています。飲み水は汚され、労働者は農薬を浴び、肌はやけどし、そういう状態で丁寧に手間暇かけて生産したバナナを駆逐し国際競争力をつけ、安くなったバナナを私たちは喜んで食べています。価格の面での国際競争力は誰かの犠牲により成り立つものです。国産品は高いと言う事で敬遠され輸入品に置き換わり、その長年の積み重ねが今にあります。生産した物は誰かに消費して頂かねばなりません。日本農業の再生は農場主を大企業に置き換えて解決するものではなく、生産者と消費者との連携。正に今進行している弊社と皆様との関係。私達生産者は皆様に食べて頂くために生産する。消費者である皆様は生産者の為に買い支える。この気持ちを全国民で共有する事、そんな何とも陳腐な事の広がりではないのでしょうか。阿蘇山の風景から随分話が飛躍してしまいました。最近、私の周りの人は農業の将来について関心がないのか、あまりこういった話をしなくなりました。日頃のうっぷんを吐き出したと言う事ではありませんが笑ってお見過ごしください。

 日頃のうっぷんと言えば長引くコロナ問題ですね。昨年の今は非常事態宣言下。外出も控えていましたが、こうも長引くと精神衛生上よくありませんね。農家は日常がお天道さんの下の活動なので何ともないのですが勤めの人は大変なのでしょう。今日の大観峰は沢山の車。九州内はもとより関東、北陸ナンバーも。皆さん空気が良く、密にならず、安心して気持ちをリフレッシュできる広々とした所でゆっくりくつろぎたいのですね。早くコロナが終息すると良いですね。
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