農園だよりDiary

2022年7

2022.07.04
 皆さん今日は。

 バリバリッ。ゴロゴロ。ドドーン。突然の大音響にびっくりして振り返ると阿蘇山は黒々とした雲に包まれ稲妻があちらこちらに光っています。田んぼの真ん中の私は、文字通り「這う這うの体」でぬかる田んぼに足を取られながらやっとの思いで農道の軽トラックに辿り着き、我が家へ一目散。例年ならこの時期は梅雨の真っ盛り、毎日ジメジメ、あるいは線状降水帯による集中豪雨で水害が発生しているかもしれないのですが、今年は例年にない早い梅雨明けです。阿蘇でも6月27日から夏空が広がり毎日暑い日が続いており、高原地帯の当地では夕立、雷は定番ですが30日の雷は超A級でした。空が明るくなり、雷鳴も収まりもう大丈夫かなと外に出た瞬間「ピカドドン」すぐ近くに落ちたようです。阿蘇の雷は油断が出来ません。

 早朝、外輪山から朝日が顔を出す前に阿蘇山は光を受けて神々しく輝きます。合鴨は暗くても田んぼの中を動き回り、日課の田んぼの見回りの軽トラックのエンジン音を聞いて集まってきます。もうお腹は満たしているようです。私も見回りを済ませ朝ごはん。5分搗きご飯、野菜沢山の味噌汁、冷凍保存の阿蘇高菜新漬け、有機栽培トマト。毎日あまり変化がありませんが、これから炎天下での田の草取りなので朝食は大事なルーティン。熱中症対策には朝食の味噌汁が塩分、水分補給が出来て有効とテレビで言っていましたが、我が家の朝食は正に時節にマッチした物でした。

 稲も、合鴨も大きくなりました。田んぼの中には色んな草が生えます。たいていの草は合鴨が泳ぐときに水かきで倒され、くちばしでつつかれ倒され次第となくなりますが、ヒエは別物で人が目で確認して抜かないとなくなりません。また厄介なことに落ちた種は何年も土中で芽を出す機会をうかがっているので数は少なくなっていきますがその場所には毎年芽を出します。というわけで、過去の自らの不摂生により撒き散らしたヒエの種の後始末を今、毎日炎天下の下、腰を曲げて黙々と行っています。以前はあちらにも、こちらにも沢山の農家が普通に田んぼの中で草取りをしていたのですが、近年は私一人。私の地区は専業農家が多く、農業には熱心な所だったのですがみんな米つくりに対する意欲がなくなってしまったようです。一般栽培では除草剤が使えるのですが最近の資材高で除草剤も値上がりして多くの経費は掛けられないようで、農道から見ても雑草が茂っている田んぼがかなりありますが何もされないようです。

 先日携帯電話のKDDIがシステムトラブルで繋がらなくなったという報道がありました。私はドコモなので関係ないと思っていたところ、弊社の米の配達を依頼している「ゆうパック」の貨車運行や、農作業に大切な「アメダス」情報にKDDIが使われていたそうなのです。便利だなと思いつつ何も知らずに利用していました。ウクライナ戦争が始まってからもそうですが買うときに値段は気になりますが農業に欠かせない肥料の原材料がロシアや中国産だったことを私も含めて殆どの農業者は知らなかったでしょう。燃料、家畜飼料もそうです。今の世の中、あるべき物があるのが当り前。しかしトラブルが起きて昨日までの当り前がそうでなくなると困りますね。KDDIトラブルでは数少ない公衆電話が活躍し、テレビでは電子決済がダウンしたときの為に小銭を持ち歩きましょうなどと言っていましたが、便利なのか便利でないのか何か変ですね。

 日本の農家は状況説明が苦手なので世の中の人は日本の農業にあまり関心がないようですが、多くの農家が「我が家の農業ももうこれまで。」と思っています。ドコモとソフトバンクが過去にシステム障害を起こした時の教訓をKDDIは学んでいないと指摘されていますがシステムは日頃から点検しなければ性能を発揮しません。さて、日本農業の食料生産システム点検はどうなっていますかね。
PAGE TOP