農園だよりDiary

2022年10

2022.10.04
 皆さん今日は。

 何やかやと春から田んぼに通い、一喜一憂しながらも今年は生育期間中、大きな台風の襲来もなく天候に恵まれたおかげで稲の生育も良好でした。やっと収穫目前になり台風11号襲来。その後も来る様子。先月号でもお知らせしましたように重そうに頭を垂れ、やっと立っていたのに米自体には影響はありませんが台風の雨と風で吹き倒されてしまいました。最近の燃料高騰でなるべく収穫を送らせて田んぼで籾を乾燥させてから稲刈りを始めたかったのですが、9月11日から始めました。

 いろんな所に円安の影響が出ていますね。日本はデフレスパイラルに陥っていると言われていますがそうなのでしょうか。アイスクリーム、以前はカップの蓋を開けると蓋の裏側にアイスがたっぷり付いていましたが付かなくなっています。好みの「RITZチーズサンド」の包装はいつの間にか軽薄になっていました。いつも愛用している肌着、丈が短くなり生地も薄くなっています。日本では一時期「価格破壊」という言葉が出現し、低価格路線全盛の時代がありました。値上げは消費者に敬遠され、もってのほか。企業では価格はそのままにして内容量や包装費、あるいは人件費も削り、やり繰りしてきたのです。日本銀行は統計を取り通貨管理をしているので間違いはないのでしょうが、「素人エコノミスト山本」の外野席からの見立てでは日本経済はデフレではないのではないでしょうか。私達が知らないうちに値上げに相当する分をどこかで削って価値を落として販売しているとしか思えません。それなのに消費者物価指数2%UPを目標に通貨管理をし、円安、物価高。経済は冷え込んでいるのに望まれない消費者物価指数UP。弊社の米も皆様のご理解の下、値上げさせて頂きましたが今月からは沢山の品目で値上げが行われるとの事、米と家庭菜園で採れる野菜以外は消費者の我が家にとっても大変な事です。「美しい日本」を目指してここ数年、日本の政治が動かされてきましたが通貨の力が半分になり貧しくなっては「美しい日本」の実現は難しいですね。

 そんな中、順調に値上げが行われている業界があります。それは農業機械の業界です。私が小学校の頃、まだ稲刈りは鎌を使って人手で刈っていました。土曜日の午後と日曜日は朝早くから両親と姉たちと家族皆で田んぼに入り父が先頭、次は母、その次は姉たち、しんがりは私。田んぼの向う端まで刈るとまた、こちら側から。父が私の後ろから追いかけてきます。追い付かれたら私が刈っていた列を父が、そうするうちに母からも姉たちからも追い抜かれ、皆が2列も3列も刈るうちに私はやっと1列。そんな懐かしい思い出もありましたが、圃場整備事業により長さが100mの田んぼに、そして農業機械化の波が押し寄せ、耕運機からトラクター、稲刈機からコンバインと新たな機械が発売される度に農家は次々と買換えて「機械化貧乏」の言葉も流行しました。ところが最近の稲刈りシーズンの田園風景は一変しました。以前は至る所、農家の数だけコンバインがありましたが今は最盛期なのに見当たりません。農家も高齢化し買い替えたいけどあと何年使うか分からないし、価格も600万円から1500万円と高くて買えないのです。その代り大きな稲作農家が請け負って刈り取っています。その他にトラクター、田植え機、籾乾燥機、籾摺り機等沢山の機械を修理しながら、しかしある時期が来たら買い替えて米つくりを続けて行かなければなりません。大変な負担ですが、全国でも同じ現象なので機械の生産台数が少なくなり益々高騰です。そんな状況ですが我が家では機械を整備し永く使い経費削減に努め、作業委託による慣行栽培の米の混入の恐れが無いよう一通りの機械を揃えています。全国の多くの農家が引退の秒読みに入りました。その中でも特に手間の掛かる有機栽培の稲作農家は減少します。円が弱くなりいつまで海外の食料に頼れるか分からない今、弊社は作り続けます。

写真 阿蘇テレワークセンター職員 黒田
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