皆さん今日は。
やっと春がやって来ました。熊本地震で倒壊した阿蘇神社のシンボルともいえる楼門が今年の正月、修復が終わり7年ぶりに桜と一緒の写真が撮れるようになりました。3月末、連日の季節外れの大雨の中でも桜は開花を進め、久しぶりの晴天のこの日、満を持して開花したのでしょう。7分程の開花でした。ここ数日は天気が良いようですがせっかく阿蘇神社に来たのでお参りをし、カメラを構えました。「楼門と桜」、いい感じだなと撮っていたら撮影スポットだったのでしょう、次々に観光客がカメラを構えます。沢山のカメラマンが撮影する姿と一緒に「楼門と桜」を撮りました。最高の姿を撮ってほしいという気持ちが溢れている人と、最高に良い写真を撮ろうという姿勢が表れている初老のカップルの写真を今月の写真にしました。何年もの間、寂しい神社だったのに沢山の人がお参りに来て下さるようになり御神体の「健盤龍命」(たけいわたつのみこと)もお喜びの事でしょう。農耕の神様なので皆が健康で過ごすことが一番です。
ところが先月、熊本の地方紙に「人の血液中にナノプラスチック粒子が含まれているのが確認され、同時に紫外線吸収剤とPCBも検出された」という驚きの記事が掲載されました。近年、プラスチックによる海洋汚染が注目されファストフード業界では紙製容器、紙ストローへの転換が報じられてきました。私たちの身の回りは沢山のプラスチック製品で満たされ、便利な生活を送ることが出来ますが、すでに多くのプラスチックが自然界に放出され山、川、野原、市街地に眠っています。陸地には植物、人も含めた動物が生息し枯葉や死骸、排泄物が発生しますが、雨が降ると雨水と一緒に流され、同時に自然界に眠っていたプラスチックも海に運ばれます。しかし海水は綺麗ですね。海には魚類や海藻類などの生き物がいて、陸地からもたらされる栄養分の循環により生きています。人はそれらを獲り、食べ、あるいは農地の肥料にすることで海水の浄化の一部分を担ってきました。今回の記事によると「近年、分析技術が進歩し、河川水や海水、生物の体内から、さまざまな種類のナノプラスチックが検出されるようになった。粒子が小さいので、呼吸器や消化器を通じて血液まで入り込みやすく、粒子としての影響や、それに含まれる有害化学物質の影響が大きくなることが懸念される」また、「今回検出された化学物質はわずかで直ちに影響が出るレベルではない」としつつ、「これらの化学物質は環境ホルモンだ。摂取量が増えたり、長期間蓄積すれば生殖作用に影響を与える事が懸念される」とあります。日本人にとって海の生き物は切っても切れない存在です。和食文化を支える出汁、刺身、寿司、その他沢山の料理。私にとって、頭から尻尾まで丸ごと食べられるワイルドな食べ物の「目刺し」。今まで美味しくて何の疑いもなく箸をつけていたのが、これからはちょっと疑って食べなければならなくなりました。
先月号でも触れましたが、国民的疾病になった「花粉症」。あるいは先進国において社会問題になっている「少子化」。どれもプラスチックが普及し始めた昭和の時代には無かった問題です。失われた30年といわれながら、この時代、石油製品が溢れ、簡単に捨てられ、燃やされ、野山を、川を、海を汚し、ついに自分たちの体まで汚すことになってしまいました。誰が加害者なのか?喉が乾いたらどこででも買えるペットボトルの飲料。生活にとってなくてはならない車。そのタイヤも走るたびに擦り減って最終的には海水に流れ込みます。 どうやら私達は便利さと引き換えに、取り返しのつかない事をやらかしてしまったようです。しかし、もうどうしようもありません。私は次の世代のために、なるべく自然由来の物を使い、環境に配慮した生活など、地道な積み重ねの実践をしようと思っています。この問題はCO2問題と同じで、技術革新もさることながら、一人一人が不便さを我慢する生活様式を受け入れる事が解決法でしょうね。