農園だよりDiary

2017年3

2017.03.16
 皆さん今日は。各地で梅の開花の便りが聞かれるようになりました。九州の中の北海道と言われる阿蘇。我が家の庭の梅も、2月25日、開花しているのを見つけました。

 「地球温暖化、平均気温の上昇」と言われても、やはり冬は寒いですね。阿蘇では今年も最低気温マイナス10℃の朝がありました。でも梅が咲くともう春は間近、お日様の高さが高くなり、日向はポカポカ、植物の芽吹きを助けます。植物が動き出すと農家も忙しくなります。

災害復旧工事

 ここ数年、阿蘇は大きな災害に見舞われました。平成24年7月の九州北部豪雨による大水害、昨年4月の熊本地震、10月の阿蘇山噴火。これらの災害で道路、農地、用水路はズタズタになりました。あまりに大規模な災害続きで復旧工事が追い付いていないのが現状です。現在進められているのは5年前の水害からの復旧工事です。

 集中豪雨が来ても水に浸からないように河川の流量を大きくする工事(写真上)、大雨の時の水を一時的に貯める遊水地を作る工事(写真中)、遊水地の外にあり水害の時に浸水する恐れのある農地の嵩上げ工事(写真下)、これらが進められています。

 阿蘇の地形は大きなタライの割には小さな排水口と例えられます。昔この地を治めていた築城、治水の名手、加藤清正公が熊本平野を水害から守るため、河川を蛇行させたり自然の遊水地を作ったりして、水の流れる早さを調整したと言われていますが、その名残が至る所に残されています。いま行われている工事で阿蘇の排水口を大きくすると下流で水害が起きるでしょうから、上流の住民と下流の住民の利益のバランスをとるのは事業担当者にとって、さぞ頭の痛い事でしょう。

 写真中段の遊水地は総面積100haという大規模なものです。米の出来が良い優良田園地帯で、我が家の田んぼも一部その中にありましたが用地買収に掛かりました。長年無農薬で大切にしてきた田んぼですが、地域の災害時の安全には代えられません。毎日数十台のダンプカーが走り月末には完工の予定だそうです。

 こうして水害の工事は何とか進んでいますが熊本地震からの農地復旧はまったく進んでいません。あまりにも被害範囲が広く、規模が大きいので入札に業者が集まらないのだそうです。全面復旧はまだ先になりそうですが、今はとにかく自分たちで修理出来るところは修理して、少しでも多くの田んぼを作付したいと思っています。

 3月になると阿蘇では野焼き、用水路掃除が行われ田植えに向けて準備が進められます。

 季節の進みは着実です。毎朝氷点下の気温なのに、日当たりのいい用水路のふちには、もうフキノトウが出ていました。逆境にめげない、このフキノトウの様に今年も例年通り、頑張ります。
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