農園だよりDiary

2019年2

2019.02.11
 皆さんこんにちは。

 立春も過ぎ、暦上は春になりました。しかし今が一年の中で一番寒い時期ですね。ところが阿蘇では、例年なら日中でも日陰の氷が解けない日が続くはずなのですが、今年はポカポカ陽気で、寒さに身構えしていたのに拍子抜けです。1月末、今年一番の冷え込みと言う日の朝、阿蘇谷の東の端、熊本平野に注ぐ白川の源流の一つ、「古閑の滝」に行きました。杉林のなかの登り坂の林道を500mほど歩くと目の前に高さ100mの巨大な氷柱がそびえ、その至る所を豪華な氷のシャンデリアで装飾しているはずでした。ところが写真のように氷柱と言える程の物は有りませんでした。阿蘇の住人としては、日々の暮らしの中でこの状況は大体察しがついてはいました。帰り道、この地域一帯を管理する組合運営の茶小屋でたき火に当たり、暖を取りながら店の人に尋ねると、もともと滝の水は、せせらぎ位の少量しかなく、冬の長い期間にわたり氷が成長し続け見事な芸術品になっていたのですが、今年は気温が高く、夜中に凍っても昼間に融けてしまい、氷が発達しなかったのだそうです。結局その後も寒い日は続かず、氷柱は大きくならなかったのではないかと思います。しかしいつも行くたびに見る「ミツマタ」。あたり一面、氷と雪と岩のモノトーンの世界の中で、直径1cm位の緑がかった白色のメロンパンの様なかわいい形の花を持った樹です。カスミソウは鮮やかな色のバラを引き立てながら自らの美しさも控えめながらアピールしますが、この花は自分の気配を隠すようにひっそりと咲いています。よく見ないと見過ごしてしまいそうですけど、それなりの美が有りますね。この滝も熊本地震では被害が有ったそうですが、地元の人の御苦労と、この樹のように寒い中でも花を咲かせる自然の力で周囲の植生が再生されて、又近くまで来ることが出来るようになりました。

 我が家の庭でも暖冬の影響が出ています。昨年のこのお知らせで梅とクロッカスを取り上げたのは3月号でした。梅は数日前から花が見えたので分かっていましたが、昨日(2月10日)庭をよく見るとクロッカスがもう開花寸前でした。昨年より20日早い感じがしますね。植物は一定期間冬の眠りについた後、春の日々の気温の積算によってそれぞれの種類ごとに目覚め花を咲かせます。今年の気温が昨年より高いのは確かですね。阿蘇では今年、積雪がなく私の車のタイヤもスタッドレスに交換していませんし、暖かいので今のところ住宅の暖房費も少なく済んでいます。人の生活には短いスパンで見ると暖冬はプラスに見えますが農家の視点では要注意現象です。冬の季節は冬らしく、夏の季節は夏らしくあってほしいものです。それが日本特有の風土を醸し出す四季に繋がり、日本の食文化を支える農業の基本だからです。

 近年気象災害が多発しています。その原因とされるCO2削減もしなければと思うし、便利で快適な生活もしたいし、優柔不断な私です。
PAGE TOP