農園だよりDiary

2021年6

2021.06.08
 皆さんこんにちは。

 5月は皐月晴れの言葉があるように例年、天候が安定していて農作業がはかどります。今年も好天に恵まれ稲の苗も順調に生育し、田植えも14日に終わりました。鴨のヒナは12日、まだ生まれたばかりで羽も生えていないのに大阪から空を飛んでやって来ました。最近は運賃の安いトラック便で送られてくることが多かったのですが、今年は国内で鳥の病気が発生し、鴨のヒナが全国的に品薄なんだそうです。我が家では購入数が多いので、もし輸送中に死んでしまうようなことがあると代わりのヒナがいないので飛行機に乗ってやって来たと言う訳です。我が家に到着したヒナ達は部屋を4つに仕切って100羽位の群れに分けて、それぞれに電気コタツの暖房を入れて育てます。昼間はそれぞれ部屋の中を動き回っているのに、夜、寝る前に見回りに行くとコタツの中でみんな集まって休んでいます。誰も教える者はいないのですが、ちゃんと生き抜く術を知っているようです。30年前、合鴨農法を始めた頃、300羽を一つの部屋で育てた事が有りました。ヒナ達は大きな丸い塊になり、周りを神経質にグルグルなぜか左回りに駆ける者が、また塊の中では弱いヒナが圧死していました。日にちが経つにつれ生命力の差が表れ、弱い物は餌を十分に食べられず強く大きい者に踏みつけられ死んで行きました。どこかの集団に似ているなと感じました。現在は小さな集団なので体格差は以前ほど無いのですが、それでも2週間もすると体の大小が現れます。そのままにしておくと弱ってしまうので小さき者達専用ルームに引っ越しさせて、のんびり育てます。ヒナ達はすくすく育ち、特に大きい者達は部屋が手狭になり新天地の田んぼに行きました。その田んぼなのですが、14日に田植えが終わりほっと一息、例年なら好天が続き、苗がしっかり育つのですが、今年は困った事です。阿蘇では例年6月10日過ぎからの雨の季節なのですが、ひと月早く15日梅雨入りしたのです。しかも連日の大雨、強風で田んぼの水が煽られ、そんな天気が2週間も続いたので日陰育ちの柔らかい葉は揉まれ、本来ピンと立っているはずの苗は倒れてしまいました。この状態でヒナを放したら踏みつけられて苗がなくなってしまうので、ヒナは育ったけど・・・・状態です。それでもヒナは育つので苗がなくなるのを覚悟で状態の良い田んぼに放しました。合鴨農法は稲とヒナと雑草のバランスが大事なのですが、今年ほど頭の痛い事は初めてです。農業は作物を育てる為にどちらかを犠牲にして妥協する事も大事です。気候変動の時代、来年もどういった天候になるのか分からないので大きな勉強をさせてもらっています。

 言い古されていますが、農業は天候とは切り離せない仕事です。気温や日照時間で作柄に大きく影響が出ます。ついこの間まで「異常気象」と言われていましたが、何が正常で何が異常なのか分からない時代、「気候変動」と言う言葉が使われるようになりました。「CO2が増えたので温暖化になった」と言われてもピンときませんね。CO2が何トン排出されていると言われても、目に見えないものをどうやって量ったのか、まして気体をトンで言われてもどの位の量なのか全く想像がつきません。新聞を見ていたら植物はCO2を吸収して育つので燃やしても±0、堆肥として土に入れても分解されて大気に放出されるのでこれも±0。ところが焼いた炭は炭素の塊、これを土に入れると分解されないので半永久的に土中に閉じ込められると書いてありました。我が家を見回すと米を収穫した後の「籾殻」。子供の頃、阿蘇ではどの家も蒸し焼きの「燻炭」にし、土に混ぜたり、冬季、堀ゴタツの暖房に使っていました。今は土つくりの為、生のまま田んぼに撒いていますが、今年の秋は何か手軽に焼ける方法を研究して「炭素を土中に」に挑戦したいと思っています。もし出来たら何百kgかの量になります。有機農法はCO2を出して科学的に作られた肥料、農薬を使わない「脱炭素」でしたが、積極的に土中に埋め込む「減炭素」はもっと良いですね。レトロだけど最新技術かもしれません。
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