農園だよりDiary

2022年3

2022.03.08
 皆さん今日は。

 北京冬季オリンピックは終わりましたが、まだまだ冬の感覚で過ごしていました。ところがもう3月です。今年の阿蘇は雪景色も無いまま、庭ではホトケノザ、クロッカスが紫の、ナズナが白い可愛い花を咲かせ、もう春になりました。昨年3月号では我が家の庭のサンシュウ、梅、馬酔木が開花している賑やかな様子をお伝えしていました。今年サンシュウは5㎜位の蕾を膨らませ黄色い花弁が少し見えるようになりましたが、梅も馬酔木もまだ開花には日数を要するようです。長年この会報を書いていますと過去の会報を読み返すとき、その年年の陽光の強さが判って面白いです。

 先日3月6日、阿蘇の春の恒例行事「野焼き」が行われました。先週から雨が降らず、前日は強風が吹いて原野の草はカラカラに乾いています。加えて当日も風があり、午前10時火入れから黒煙を上げ激しく燃え上がり、今日の野焼きの大変さを予感させました。阿蘇の原野は地区ごとに牧野組合があり境界線の消火作業をしなくて済むよう一斉に行います。しかし植林地や、私有地が隣接していて、その境界には火が入らないようにしなければなりません。ところが境界線が川や崖の所も。今回は防火帯があるのに強風で、その崖の境界線を火が超えてしまい、垂直の崖の枯草や灌木に火がついて消すことが出来ません。リュック式の水タンクに水鉄砲が付いた「ジェットシューター」を背負った若手部隊が急斜面を降り、消火しますが消せません。そこで農薬散布用動力ポンプにホースを繫ぎ、急斜面の250m先まで水を送り水をかけ、やっと鎮火させました。組合員60名がかりでした。やっと野焼きが終わり、みんな山を下り帰り着いた頃、見上げると、先ほど消したあたりから煙が上がっています。今度は近隣の組合員も参加、消火に掛かりますがどうしても火元に近づけません。結局、消防署に出動要請し、防災ヘリからの散水、消防車からの放水により夕暮れの中、やっと消して頂きました。後にまで語り継がれる野焼きになりました。

 命がけの野焼きですがそれを見に来る人たちにとって、その火の迫力は見ごたえがあるのでしょう。しかし時々、今年の様な地元の者も驚くような野焼きの時、自分の車の事を忘れて野焼き見物に夢中になり、車を燃やす人がいます。地元組合員の第一の務めは無事に家に帰る事。第二は隣接地を焼かない事。それ以外はありません。日本社会は誰もが安全に暮らせるよう、細部にわたり気配りがなされ、私たちはそれが当り前の事になっていますが野焼きは別物。見物に来る人は自己責任で来て頂きたいものです。話は飛躍しますが、先月、ウクライナにロシア軍が侵攻し、前世紀的行動に多くの人が驚きました。テレビでは市民が怯え、非難する様子が映し出され、自分の身を守る事に必死の様子が伝わります。この問題解決に向けて国際的な経済制裁が展開されますが世界は密接に繋がっています。多くを海外に頼っている食料とエネルギーは益々高騰するようです。エネルギーはCO2問題で社会的認識がありますが、それでも身の周りにある沢山の石油製品により暮らしが支えられていて、また生産や物流にも欠かせません。食料は、巷に溢れ、お金さえ出せばいくらでも買えるのが当り前。ところが今回のウクライナ問題は21世紀の世界で、国家が隣の国家に武力侵攻することなどありえないという常識を覆しました。食料認識も同じ、最終的には自分の身は自分で守る心構えでしょうか。
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