農園だよりDiary

2022年5

2022.05.08
 皆さん今日は。

 風薫る5月。山々にはモザイク状に杉ヒノキに交じって広葉樹の薄緑の若葉が爽やかです。真夏の様な暑さの日が、と思うと上着が欲しいような日もあり、夏と冬が交錯した日が続いています。今日は二十四節気の「芒種」。昔は米麦などの穂が出る作物の種を蒔く日だったそうですが令和の時代、ゴールデンウイークに家族皆の休みを利用して田植えを済まそうと、どこの家庭も頑張って、この一週間で水もない土くれ田んぼから水が張られ若苗の植え付けられた田んぼの風景へと一変しました。正に値千金の一週間だったようです。我が家の田植えは稲が成長して実が稔る時期や、合鴨を田んぼに放す時期、米の発送等を考えて12日頃から始めようかなと計画しています。田植え計画が出来るとそれに合わせて準備を進めながら有機栽培のトマトの管理も進めています。先月末に植え付けた苗はもう花が咲き始めました。有機栽培ですから普通農家が使う植物ホルモン剤での交配ではなく「クロマルハナバチ」をハウス内に放して蜂による交配です。9月まで連続的に花が咲きますのでずーっと蜂の世話もしながらの栽培になります。田んぼの合鴨と一緒ですね。もちろん蜂が弱る農薬は使えません。夏の栽培なので害虫は当然発生しますがこれをやっつける天敵昆虫をハウス内に放します。これも観察すると日々変化があり、時間の経つのも忘れてルーペを覗き込んでしまいます。自然界は農薬に頼らなくても作物が育つようになっているものなのです。

 農家はなるべく農薬を使わずに生産し皆さんに届けたいと思っています。ところが人の欲望はあえて農薬が沢山まぶしてある食べ物を欲しがるから不思議ですね。我が家でも家内が買ってきていましたが、ポテトチィップ。美味しいですね。やめられませんね。このジャガイモ、アメリカ産が多くを占めているそうなんです。ところが最近はポテトチィップ以外の生食用にも使用されるようになりました。また昨年夏の国内最大産地、北海道の干ばつで国内産が少なくなりアメリカ産に頼るようになり輸入量は前年の11倍になったんだそうです。ジャガイモは保存状態が悪いとカビが生えて腐ります。アメリカからの長旅ではなおさらです。そこで腐らないように「ジフェノコナゾール」という殺菌剤を振りかけて日本に運ぶのだそうです。この薬はトマトやキュウリなどの収穫前の野菜類に使用が認められている殺菌剤で、茎や葉にカビ類の病気が起きた場合の薬です。収穫した後の作物に使う物では無いのです。しかもこの薬、発がん性や神経毒性が指摘されているものです。この事実は日本農業新聞でも取り上げられ、ネットでもこの薬が「生鮮ジャガイモの防カビ剤として食品添加物に指定された」として反響が沢山ありましたが、しかしそれは一部の人しか知らない事。一般国民は何も知らされず、偽の安心をさせられ食べさせられています。ジャガイモ料理はおいしいですよね。この欲望を利用してアメリカの輸出企業が、農家が利益を受けています。自分の家族以外が、外国人ならなおさら、食べさせた側に責任はありません。日本は世界の中でも安心して生活でき、安心で美味しい食べ物が溢れている国。それは幻想なのかもしれません。グリホサート小麦、家畜ホルモン肉、遺伝子操作大豆、トウモロコシ、綿花、防かび剤ジャガイモ。世界情勢が混とんとした今、燃料、食料、家畜飼料、生活必需品、すべてが値上がりし買い手市場から売り手市場になりつつあります。今までは中身を精査し買っていたものが、それは過去の事になるのでしょう。

 人間の欲望は果てしないとよく言われます。特に食欲はそうでしょう。美食は究極の欲望。しかしその基になる食材には限りがあります。工業製品のようにポンポンとは出来ません。食は命を頂く事。その命が育つには時間がかかります。欲望をちょっと控えめに、国産の身の回りにある食材での日本型食生活もエコで健康的、おまけにCO2削減。如何でしょう。
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