農園だよりDiary

2022年8

2022.08.08
 皆さん今日は。

 西日本では梅雨の時期、毎年どこかで豪雨災害が発生しますが先日、東北北陸地方で今の時期に集中豪雨災害が発生したという報道を見て驚きました。被災地域の皆様には心からお見舞い申し上げます。

 今年の天候は変ですね。阿蘇では梅雨の時期にはまとまった雨が降らず、やがて異例の早い梅雨明け。猛暑になり又梅雨空になり。夏の盛り、猛暑の中、青空に入道雲が高く沸き立ち急に薄暗くなったかと思う間もなく雷がピカピカドンドン。大粒の雨が乾いた地面にたたきつけ、そのまま吸収されていきます。やがて水たまりが出来るころには大粒の雨粒も小さくなり、何事も無かったように空が明るくなり涼しい空気だけが残されて熱波に火照った心と体が癒され、エアコンでは味わえない気持ちよさに浸れる、そんな夕立の日がありません。稲は好天と夕立で穂が充実するので待ち遠しい所です。毎日、雑草との格闘をした田んぼも御覧のように生長し、穂が出揃い綺麗な姿になりました。主役の鴨たちは専用の飼育ハウスに移動し、広いスペースの中で餌をたくさん食べ、のんびり過ごしています。これからの作業は所々に頭をもたげてきた取り残したヒエを来年の種にならないように引き抜いていくことです。稲穂の出来を確認しながら立って歩いての仕事なので腰も痛くなく、楽しい作業です。稲穂が全部出て、花が咲き終えたら天気を見て始めようと思っています。

 ところで気象も心配ですがプーチン戦争による資材高騰も生産現場では心配の種です。農協で取り扱っている科学肥料は価格が倍になり、この秋以降はまだ上がるようです。弊社では九州地域で出来た焼酎の搾りかすと養鶏場の鶏糞を混ぜて発酵させた堆肥を購入しているので輸入原料の肥料ほど高騰はしませんが燃料、包材等の値上がりの影響は逃れられません。資源のない島国の経済は脆弱ですね。現代の農業界は世界中で巨大資本が投資し、現地の農民を使い先進国向けの農産物を生産しています。フィリピンのバナナ産業が有名ですね。以前に行ったコーヒー産地で有名な東チモールでは先進国企業による不当安値の買い上げが問題だとして日本の「大地を守る会」が主体となり韓国や日本の生協と「アジア農民基金」を立ち上げ、コーヒー農家に対してフェアトレードによるコーヒー買付を行っています。農家はコーヒー以外の自分の食料生産は行わず全て買った物。我が家で採れたものは心配せずに沢山食べられるのに、そこでは輸入品の米が主食でした。それでは農家経済が成り立たないので支援事業として基金を使い養鶏などの支援をしていますが、この取り組み以外の農家の状況は察してあまる物があります。私たちの日頃の生活はこうした世界中の農民からの搾取により成り立っているようです。

 先月末、地元紙に今年は転作が進み米の国内生産量がピークだった1967年1400万トンの半分の673万トンになる見込みと出ていました。ちなみに1967年の米価は7600円/60kg。昨年は14000円/60kg。この価格は1974年頃(1200万トン)の価格。単純に計算して現在の国内米生産額は1974年頃の半分。時代が変わり、農作業は機械化され資材価格も変わりました。車、子供の教育、農家も他の業種の人の生活様式も同じになりました。それなのに1974年の収入の半分では生活は成り立ちません。世界中の貧しい農民はその生活から抜け出す術がなくそれを受け入れるしかなくても日本の農民は子供に教育を施し、恵まれた生活が出来る可能性に賭けた結果、農家から若者がいなくなり現在の状況を招いています。それにしても米は人気がありませんね。1962年には1人当たり年間118kg食べていたそうですが、年々減少し今は50㎏だそうです。農家も減り続け、消費量も減り結果オーライでしょうか。東チモールの農民はコーヒーを安く売り、高い米を買わされ、2重に資本家から搾取されていました。自分で食べる物は自分で作る。日本人の食料は日本人が作る。他におもねらない潔い生き方の基本ではないでしょうか。
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